Roeスキーム
説明
Roeスキームは、Philip Roe によって提案された近似リーマンソルバーで、隣接セル間の保存変数から線形化された平均状態(Roe 平均)を定義し、そこから波の伝播速度とフラックスを計算する手法である。オイラー方程式の場合、Roe 平均値を用いてヤコビアン行列を対角化し、各特性波についてフラックスを求める。Roe法は一次精度ではあるが、衝撃波や接触面を比較的シャープに、かつ過度の数値粘性なく計算できる利点がある。弱点として、接触不連続に不自然な奇異性(キャビティ)が生じることが知られており、後に Harten の Entropy Fix などの改良が提案された。現在でも、多くの高次スキームの基礎として Roe の近似手法が用いられている。