ウォーターカーテンによる吸収を伴う漏洩ガスの拡散解析

#乱流  #混相流 

概要

有害ガスの漏洩事故が発生した場合の減災対策として、ウォーターカーテンによる有害ガス濃度の低減効果を解析した事例をご紹介します。本計算では、有毒ガスが水滴中で飽和モル濃度に達するまでの吸収過程を考慮しています。計算体系と境界条件は文献[1]を参考にしています。

参考文献

[1]秋吉,向山,倉敷,石丸,李,花木,”ウォーターカーテンによる吸収過程を考慮した漏洩気体の拡散挙動解析”,安全工学シンポジウム講演予稿集(2019)308-311.

解析条件

図1に計算格子と境界条件を示します。漏洩ガスはアンモニアガスとし、ウォーターカーテンを作動させる前の定常分布を初期値とし、ウォーターカーテン作動後10sのアンモニアガスの質量分率、水の体積分率、水滴中アンモニアモル濃度、気相速度、液相速度を求めます。

図1 計算格子と境界条件

解析条件設定値
ウォーターカーテンの噴射幅20 mm
ウォーターカーテンの噴射位置 (下面からの高さ)150 mm
気体空気とアンモニアガス
液体
アンモニアの飽和モル濃度(水滴に溶ける最大値)1.8×104 mol/m3
風の速度3 m/s
アンモニアガスの漏洩速度 (鉛直方向)1 m/s
ウォーターカーテンの噴射速度 (鉛直方向)5 m/s
水滴径1 mm
気液二相流の扱い二流体モデル
乱流モデルk-εモデル
重力加速度9.80665 m/s2
次元2次元
水平方向の格子数171
鉛直方向の格子数95
時間刻み10-3 s
現象時間10 s
計算時間1時間35分(CPU:2.3GHz, 6並列)

解析結果

ウォーターカーテン作動前のアンモニアガスの質量分率と気相速度をそれぞれ図2と図3に示します。ウォーターカーテン作動後10sのアンモニアガスの質量分率、水の体積割合、水滴中アンモニアモル濃度、気相速度、液相速度を図4~図8に示します。ウォーターカーテン作動後、障壁の上流側と下流側でアンモニア質量分率の低減が見られます。また、水滴中アンモニアモル濃度は飽和モル濃度1.8×104 mol/m3に達していないことから水滴はまだアンモニアガスを吸収できることがわかります。

図 2 ウォーターカーテン作動前のアンモニアガスの質量分率
図3 ウォーターカーテン作動前の気相速度
図4 ウォーターカーテン作動後10sのアンモニアガスの質量分率
図5 ウォーターカーテン作動後10sの水の体積分率
図6 ウォーターカーテン作動後10sの水滴中アンモニアモル濃度
図7 ウォーターカーテン作動後10sの気相速度
図8 ウォーターカーテン作動後10sの液相速度

本解析でわかったこと

アンモニアガスが漏洩した場合に、ウォーターカーテンがアンモニアガスの拡散を低減する計算を行えることがわかりました。今後、実験値と比較した計算を行い計算精度の検証を行う予定です。