多分岐管における気液二相冷媒流の分配解析

#熱流体  #混相流 

概要

ヘッダに多数の分岐管(チューブ)が接続する構造をもつエバポレーターなどの熱交換器では、ヘッダから分岐管への気液分配を均一にすることが重要です。流体解析ソフト Advance/FrontFlow/red の混相流解析オプションAdvance/FrontFlow/MPを使用して、多分岐管における気液二相冷媒流の分配を解析し、実験結果[1]と比較した結果をご紹介します。

参考文献

[1]中尾祐基, 江川彰,廣田真史,丸山直樹,西村顕,多分岐管における気液二相冷媒流の分配に関する研究,日本機械学会東海支部総会講演会講演論文集,163-1(2016),310. https://www.jsme.or.jp/tk/usb/PDF/310.pdf/

解析条件

長さ273mmの水平ヘッダに長さ200mmの垂直分岐管が25mm間隔で10本接続した実験装置を解析対象とします。解析モデルを図1に、ヘッダ入口付近の計算格子を図2に示します。 

図1 解析モデル
図2 ヘッダ入口付近の計算格子

表1 解析条件

解析条件設定
次元2
物性値R-134a(0.3MPaにおける飽和状態の値)
冷媒循環量20kg/h (case1), 20kg/h (case2), 50kg/h (case3)
入口クオリティ0.3 (case1), 0.4 (case2), 0.3 (case3)
分岐の管開口率100%
気液二相流の扱い二流体モデル
乱流モデルk-εモデル
離散化有限体積法/セル中心法
格子数52,080
時間刻み2×10-4s
液体体積割合の初期値ゼロ
流速の初期値ゼロ

解析結果

非定常計算で準定常状態になるまで計算し、気相質量分配率Mgi/Mgおよび液相質量分配率Mli/Mlの時間平均値を求めました。ここで、Mgはヘッダ入口における気相質量流量、Mgiはi番目の分岐管における気相質量流量、Mlはヘッダ入口における液相質量流量、Mliはi番目の分岐管における液相質量流量を意味します。図3~図5に計算結果を実線で、実験結果[1]を破線で示しました。グラフの横軸のBranch Numberは分岐管の番号を意味します(図1参照)。 case3における気相質量分配率を除いて計算結果は実験結果と良く一致しています。

図3 case1の気相質量分配率と液相質量分配率
図4 case2の気相質量分配率と液相質量分配率
図5 case3の気相質量分配率と液相質量分配率

図6~図8に準定常状態における液体体積割合の時間平均分布を示します。

図6 case1の液体体積割合
図7 case2の液体体積割合
図8 case3の液体体積割合

本解析でわかったこと

文献[1]の条件において液相質量分配率を再現できることがわかりました。case3の気相質量分配率に差異が生じた課題については今後検討していきたいと考えております。