平板乱流境界層解析によるRANSの基本検証

概要

一様な流れの中に流れ方向と平行に平板を置き、その平板上の空気の流れの解析を行います。平板の下端から下流方向には境界層が形成されます。

解析条件

解析領域を図 1 に示します。
解析条件 3次元圧縮性ナビエストークス方程式、SIMPLE法、空間2次精度
作動流体 Air (輸送係数は主流条件の値に固定

図1. 解析領域

表1. 主流条件、解析条件

項目設定
流体非圧縮性流体
乱流モデルSST k-ω モデル
Mach数0.2
静温300K
静圧1013hPa
Re数1.03×107
2次元格子111×81nodes
最小格子幅10μm
壁面第一層wall Y+0.4

解析結果

図 2 に 速度分布の全体像を示します。平板上を流れる流体の、流下方向(横方向)の速度分布を色で示しています。色は速度の大きさを表しており、青色が低速、赤色が高速を示します。 平板の先端から流下するにつれて、壁面近くの速度が低下する領域(境界層)が徐々に厚くなっていることが視覚的に確認できます。これは、粘性による影響が下流に進むにつれて広がることを示しています。

図 2.縦方向速度 [m/s]

図 3は 特定のレイノルズ数 (Rex = 1.03×107) における、壁からの距離に対する平均速度のプロファイルを示しています。

黒い丸 (Exp.: Wiegardt): 実験データを示しています。

黒い点線 (u+=y+): 粘性底層の理論式です。y+<5 程度の領域でこの直線に一致することが期待されます。

黒い実線 (u+ = 1/0.41ln(y+)+5): 対数層の理論式です。y+>30 程度の領域でこの対数曲線に一致することが期待されます。

赤い実線 (AFFr; min. y +): CFD解析、AFFrの解析結果を示しています。解析に使用された壁面第一層の最小 y+値は0.38です。

図3. 速度プロファイル, Rex=1.03×107

図 4は、平板上の乱流境界層のおけるレイノルズ数Rexと摩擦抵抗係数Cfの関係を示しています。

黒い丸 (Exp.: Wiegardt): 実験データを示しています。

黒い実線 (Cf=0.058⋅Rex**(−1/5)): 乱流境界層の表面摩擦係数に関する経験式を示しています。

赤い実線 (AFFr; min. y +=0.38): CFD解析 AFFrの解析結果を示しています。

図 4.RexとCfのグラフ

(*)参考文献:Takefumi, I. and Masahiro, I., “機械工学基礎講座 粘性流体の力学” , pp. 137, 2006.

カテゴリ

乱流

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