キャビティ内の輻射-熱対流連成解析

概要

この解析事例では、暖房器具から発生する熱が部屋全体にどのように伝わるのかについて、モデル図に示した立方体領域(-0.5≦x, y, z≦0.5) 内で輻射-熱対流連成解析をAdvance/FrontFlow/redを用いて行います｡　領域内には吸収性媒体が充填され、壁面は黒体として温度および断熱の境界条件を与えます。 輻射熱伝達計算はモンテカルロ法(MCM)と有限体積法(FVM) を使用します。コード内にはゾーン法(ZONE)も実装されています｡

解析対象

解析対象を図1に示します。立方体領域(-0.5≦x, y, z≦0.5)です。メッシュは6面体均一格子、60×60×60(21.6万)セルです。

解析対象　立方体領域(-0.5≦x, y, z≦0.5)で、メッシュは6面体均一格子、60×60×60(21.6万)セル
図1 : 解析対象

解析条件

解析ケース毎の条件を表1にまとめています。

表1 : 計算ケース

ケース1. 単純熱対流ケース2. 壁面輻射、透明性ガスケース3. 壁面輻射、吸収性ガス
Ra = 106
Pr = 0.71		Ra = 106
Pr = 0.71
Pl = 0.043
Tc/ΔT = 15
τ = 0		Ra = 106
Pr = 0.71
Pl = 0.016
Tc/ΔT = 15
τ = 10

パラメータを以下にまとめています。

パラメータ　Ra：Rayleigh数、Pr：Prandtl数、Pl：Planck数、τ：光学厚さ、T*=(T-T_c)/ΔT、Q*=(Q_r)*+(Q_c)*=(LQ_r)/kΔT-L(∂T/∂x)/ΔT

解析結果

解析の結果、暖房器具から放出される熱が、部屋の空気だけでなく、壁や床にも直接伝わって
いる様子がわかります。

Z方向中央断面の温度分布図、熱い壁面上でZ方向中央の熱流束分布図
図2 : ケース2の温度と熱流束
ケース1：輻射なしの熱対流(Altix-350、11時間)の温度分布図 ケース3：τ=10の輻射-熱対流(Altix-350、FVM 18時間)
図3：ケース1と3の温度分布

表2 : 加熱側壁面における平均熱流束の文献との比較

加熱側壁面における平均熱流束の文献との比較図 ケース1：文献[1]([3])の対流熱流束が8.862(8.77)、本計算(MCM)の対流熱流束が8.749 ケース2：文献[1]([3])の輻射熱流束が3.568(理論値3.79)で、対流熱流束が8.102、本計算(MCM)の輻射熱流束が3.770、対流熱流束が8.144、本計算(FVM、S_n=6)の輻射熱流束が3.742、対流熱流束が8.011 ケース3：文献[1]([3])の輻射熱流束が4.36で、対流熱流束が8.28、本計算(MCM)の輻射熱流束が4,980、対流熱流束が7.915、本計算(FVM、S_n=6)の輻射熱流束が4.691、対流熱流束が8.154

参考文献

[1] Colomer G, Costa M, Consul R, Oliva A, Int. J. Heat Mass Transfer, 47, 257-269, 2004.

[2] A. Draoui, F. Allard, C. Beghein Heat Technol. 10 (1-2), 160–177, 1992.

[3] T. Fusegi, J. Min Hynn, Int. J. Heat Fluid Flow. 15(4),258-268, 1994.

カテゴリ

輻射
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